シリーズ③ 教育分野領域で働く! 病院との違いは?
教育分野で働く!リハビリ職が働ける勤務先は?
皆さんが学生時代にお世話になった先生方を想像するとイメージしやすいかもしれません。病院勤務の給与面で不安がある方、大学院進学後、もっと専門的に極めたい方はおすすめの教員職です。
教員職が勤務できる職場
・専門学校
・大学、大学院
教育現場で働く!業務内容や待遇は?
教育分野で働くリハビリ職は会員の中でもかなりの少数派といえます。
・理学療法士で91459名のうち2321名 (全体のおよそ2%)
引用:日本理学療法士協会 会員数の推移より:http://50th.japanpt.or.jp/trend/
・作業療法士で62,294名のうち1,508(全体数のおよそ3%)
引用:2019 年度 日本作業療法士協会員資料:https://www.jaot.or.jp/files/page/jimukyoku/kaiintoukei2019.pdf
養成校の爆発的な増加はあっても、教員になるハードルが高いので、全体数からみても少ない分野です。
教員分野で働くリハビリ職の業務内容
・授業実施
・クラス担任(ホームルーム実施・保護者対応など)
・学生対応(カウンセリング・学習支援・就職相談など)
・出欠&成績管理
・1年間のカリキュラム企画&見直し
・講師の授業コーディネート
・学校行事の企画・運営
・学生募集に関わる体験授業などのイベント運営など
病院業務と比較すると大変な業務量で、自身の研究活動や学会活動が加わると睡眠時間を削る教員もいるそうです。
精神的なストレスも多い現場
学生は社会人として未熟なため、提出物の期限が守れない、勉強へのモチベーションが上がらず、国家試験対策ができないなどでサポートが必要になる場合があります。
特に実習中は、慣れない環境で体調面や患者様、バイザーとの人間関係などで問題が出やすくなり、施設側への謝罪対応などを行うこともあります。
また、近年はセクハラへの関心も高まっているため、指導中や実習先のバイザーの対応なども注意を払います。
学生の社会的背景や人柄に関連した幅広いサポートも必要です。養成校の増加に伴い、実習先の確保で躍起する先生方も多く、人脈も必要な業種になります。
教育職の待遇のついて
・助教、講師、准教授、大学教授の順に昇格し、役職によって給与に違いがあります。平均年収が助教授は677万円、教授は約1000万で、病院勤務(平均年収500万)と比較しても良いと言えます。
・他にも、厚生年金は共済。年間休日数は120日が多く、休みも多いです。
病院では診療報酬が決まっているため、一人の療法士が稼げる額が決まっています。専門学校や大学の運営は病院とは異なるため、報酬が高い傾向にあります。
教育分野で働くには?
教員になるには、大学と専門学校で要件が異なります。下記は一般的な要件を記載しました。
専門学校 | 大学 | |
臨床経験 | 一般的に臨床経験5年以上 | 一般的に臨床経験5年以上 |
必要な資格 | 国家資格 | 学士必須、一般的に講師や准教授では修士以上、教授は博士以上の学位 |
論文・研究活動 | 問わない学校もあり | 論文10編(10年)か論文5編(直近5年)など |
その他 | 教育職の未経験募集もあり。 | ・「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会」を受講か、教育学を4単位取得しているなど ・臨床実習の指導・教育経験(教育機関との連携も含む) |
義務化された「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会」の受講は
約132時間の講習で数か月にわたって受講が必要になるため、大変な労力が必要となります。
教育分野で働く療法士の需要と役割は?
理学療法士の養成校は1990年代の規制緩和を受けて急激に増加し、2023年の現在、249校あります。養成校の乱立や少子化が大きく影響し、徐々に教員の給与額が下がっているそうです。
とはいえ、病院より給与は高めであることから、やりがいや自身の専門性を高めることで、若い療法士の育成の一助になるやりがいのある分野といえます。
求人検索する際の注意点と採用試験の内容は?
専門学校は、転職サイトや求人サイトからでも閲覧ができます。
大学の求人は大学のHPが一般的です。大学教員のための検索サイトが下記のURLですので、参考になさってください。JREC-IN PortalのHP:https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekTop
試験内容は大学のほうがハードルが高く、研究活動、執筆論文数、臨床実習の指導・教育経験が重要になります。
募集時期は専門学校、大学共に年間を通して募集しています。
専門学校 | 大学 | |
募集方法 | 転職サイトや求人サイト | ・大学のHP ・JREC-IN Portal |
試験内容 | 面接や事前紹介多め。 | 第1次選考 書類審査 第2次選考 面接審査 中には2次選考でプレゼンをさせるところも |
大学は准教授と講師、助手、教授というように立場別で公募します。
欠員がでたら募集するスタイルが専門学校や大学では多いようです。
専門教科ができる教員を募集する「例:神経系、地域リハなど」のも特徴的です。
教育職について知りたい!
大学教員をされている方に実際に教員になるまでのロードマップや一日の流れを聞いてみました。
大学教員までのロードマップ一例
卒後1年目 一般病院就職 国立大学の大学院入学(夜間に授業)
卒後3年目 修士修了
卒後6年目 博士修了
卒後8年目 私立大学 講師入職
卒後10年目 同大学で准教授
卒後13年目 同大学で教授
教授の業務内容
教育
学部授業(臨床実習含む)
大学院授業(夜間)
ゼミ指導
国家試験対策
学生相談
研究
学内での調査測定
学外(臨床・地域)での調査測定
データ解析
論文執筆・投稿
学会参加・発表
外的研究資金獲得活動
その他
会議出席(教授会、入試などの判定会議等)
各種委員会活動(広報活動等)
臨床活動(医療施設等)
地域活動(高齢者対象講話等)
学部・大学院入試業務(問題作成、試験官等)
その他の追加
FD活動(教員としての研修活動のこと)
職能・学術団体活動(論文査読、事業の企画運営等)
病院勤務時と比較して業務量が大変多く、睡眠時間は4~6時間で毎日忙しいとのことです。相当の覚悟が必要ですね!
まとめ
大学・専門学校の教員は全体数から見て、少数派である。
給与は病院より多い。
大学教員は修士・博士必須で、前もって大学院(2年~5年)の修了をすること。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回は、『起業したい方必見! 療法士が起業できる業種とは?』です☆ぜひお付き合いください!